受信メールがTLSで保護されているかをメールヘッダーで確認する方法
多くのメールサービス(Gmail、Outlook、企業メールなど)は TLS(Transport Layer Security) に対応しています。実際にTLSで暗号化されて配信されたかは、メールヘッダー を見れば確認できます。
1. Received:
ヘッダーを確認
メールが通過したサーバーごとに Received:
行が追加されます。TLSが使われた場合、多くの環境で ESMTPS
(S = Secure)が表示され、TLSバージョンや暗号スイートが追記されます。
【TLSで保護されている例】
Received: from mail.example.com (mail.example.com. [192.0.2.1])
by mx.google.com with ESMTPS id xxxxxxxxxxxx
for <yo*@*****le.com>;
Tue, 24 Sep 2025 01:23:45 -0700 (PDT)
(version=TLS1_3 cipher=TLS_AES_256_GCM_SHA384 bits=256/256);
- ✅
with ESMTPS
と表示 - ✅
TLS1_3
などのバージョン・TLS_AES_256_GCM_SHA384
などの暗号スイートが記載
【TLSなしの例】
Received: from mail.example.com by mx.google.com with ESMTP id xxxxxxxxxxxx
❌ ESMTP
(Sがない)=TLS未使用を示唆
2. Authentication-Results
や SPF/DKIM/DMARC を確認
プロバイダによっては認証結果の中に tls=pass
が含まれることがあります。
Authentication-Results: mx.google.com;
spf=pass (google.com: domain of te**@*****le.com designates ...)
dkim=pass
dmarc=pass
tls=pass (TLS1.3)
✅ tls=pass
があれば、その配送経路でTLSが使われたことを確認できます。
3. Gmail の X-Received:
ヘッダー
Gmailは独自に X-Received:
を付与します。ここにも with ESMTPS
が出ればTLSが利用されています。
4. TLSで分かること・分からないこと
- 分かること: サーバー間の通信経路が暗号化され、盗聴が難しくなる。
- 分からない/保証しないこと: エンドツーエンド暗号 ではない(メール事業者は内容を閲覧できる可能性)。
- 本当に内容を送受信者だけで守りたい場合は PGP や S/MIME の導入を検討。
5. 確認チェックリスト
TLSで保護されていたサイン
with ESMTPS
またはwith SMTPS
がある- TLSバージョン/暗号スイートの記載がある
Authentication-Results
にtls=pass
がある
TLSで保護されていないサイン
ESMTP
(Sなし)のみ- TLSや暗号方式に関する記載が見当たらない
6. まとめ
メールヘッダーを読めば、受信メールがTLSで暗号化されて伝送されたかを素早く判定できます。主要サービスではTLSが標準化していますが、重要な連絡では念のためチェックしておくと安心です。